人間国宝シリーズ31/高橋貞次・重要無形文化財・日本刀/本阿弥日洲・重要無形文化財・刀剣研磨/小野光敬・重要無形文化財・刀剣研磨

商品説明
人間国宝シリーズ31/高橋貞次・重要無形文化財・日本刀/本阿弥日洲・重要無形文化財・刀剣研磨/小野光敬・重要無形文化財・刀剣研磨

昭和57年 40P ゆうメール・レターパック規格外 26.5㎝×36cm 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

日本刀は世界に冠たる刀剣である。性能が強靭で鋭利である。すなわち折れず曲らずよく切れる。そのこと以上に日本刀が世界無視である点は姿態、地肌、刃文が美しいことであり、この美しさを表現する工夫が、平安時代に完成されているが、すでに飛鳥・奈良時代に端を発しているようである。 そして、日本人はこの神秘な 奥深い美しさを、大昔かに至るまで鑑賞し続けている民族である。この美しい刀剣を 製作することは、もちろん刀工の技であるが、刀工が企画し 製作したものに、おもい通りの或はおもい以上の美しさを、表現してくれるのが研師であって、両者の関係は密接分である。

刀剣界の常識語に「刀は研ぎが半分」と言うことばがある が、国宝・重 要文化財に指定されている刀剣も、優れた研師 の手によってこそ、真価が発揮されているのである。現代の 研師は切れ味をよくするための研磨ではなく、なるべく美し く、そして刀工の作風を表すことを目的としていることはむ ろんであるが、こうした美術研磨とも言うべき研ぎ方が、一 説に天下泰平の江戸時代に生まれたと言うのは誤りで、おそ らくは刀剣を鑑賞する習慣が始まった大昔からのことであり、 戸時代にその技術が洗練されたことは考えられる。 平安前期に政府が編修した『延喜式』に、一口の刀を研磨 する日程を四日として、その内割に施砥磨一日、中研一日、 精磨一日、堂一日とあるが、当時すでに今日のいわゆる下地 研ぎだけでなく、仕上研ぎも拭も行われていたことが想像さ れ、鎌倉初期に後鳥羽院が各地の名工を召して、月番を定め て作刀させられたが、その研師の名も伝えられていることは、 多分美術刀剣を命ぜられたのであろう。この後鳥羽院が『太 平記』によれば、その道の者以上に目利者であられたと伝え、 室町時代に多く書かれている鑑刀の指導書、いわゆる伝書に 地刃の見どころが詳述されていることによっても、現代の美 術研磨の工程と同様に内曇、地づや、刃づやぬぐいが行われ ていたとおもわれてならない。
今日では日本刀を愛する者が欧米にも多く、彼等の中には 日本刀の製作の優秀さ以上に、研磨のすばらしさを賛嘆する 者が少なくないと聞くが、わが国に於ても共鳴すべきである。

日本刀の製作が重要無形文化財に指定されたのが昭和三十年 であり、研磨が指定されたのが、その二十年後の昭和五十年 であることは、いささか遅きに失したがあるがご同慶であ り、その保持者として本阿彌日洲、小野光敬の両君が選ばれ たことはまことに適材適所である。

本阿彌日洲は、豊臣秀吉に仕えた近世随一の目利者と伝え られる本阿彌又三郎光徳の兄である光意の子孫で、彼もまた 秀吉に仕えて研磨を担当していたようであり、その子孫は江 戸時代を通して、目利と研磨の家として継承されている本阿 彌十二家の中で、重きをなしていたようである。日洲の養父 成善(琳雅)も聞えた研ぎの上手であり、目利者でもあった

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